ハガキくらいの大きさの紙を横にして、上1cmくらいを折ります。
折ったところから下の部分を、幅1cmくらいずつ切って、おすもうさんの
まわしのようなものを作ります。
最初に折ったところをぐるっとまるめてセロテープでとめると、
いそぎんちゃくのようなものができるんですね。
これを、おった部分を下にして上から落とすと、くるくる回りながら
落ちていくんです。模様なんか描いておくと楽しいですよ。
この工作を知ったときに、いくつか作って、そのとき担任していた
子どもたちに見せたんですね。そうしたら、子どもたちも自分で作りたい
と言って、何人か興味のある子が作り始めたんです。
それで、みんなで遊んでいたら、ある子が
「先生、これってみんな同じ方向に回りますね」
って言うんです。
本当?と思って、自分が作ったのや子どもたちが作ったのを観察して
みると、本当に同じ方向に回っている。左回りでした。
どうしてだろうと思ったのですが、理由が分からなかったんですね。
ところがある日、何かを読んでいたときにこんな文章に出会ったんです。
「オーストラリアでは、お風呂の栓を抜いて水を流したとき、渦巻きが
日本と反対向きになる」
これは北半球と南半球で地球の自転の向きが、住んでいる人にとって
反対向きになることから起こるのだそうです。コリオリの力というらしい
です。
それを読んだときに、ピンときました。それで
「これはもしかしたらオーストラリアでこれを作ったら、反対回りで
落ちていくのではないだろうか」
と思ったのです。
オーストラリアの日本人学校にたまたま知り合いがいたので、
連絡して実験をやってもらいました。
結果・・・どうなったと思いますか?
何と・・・日本と同じでした。
「お風呂の渦巻きが反対になるって聞いたけど?」
「そんなことはないよ」
「コリオリの力っていうんじゃないの?」
「よくそういう人がいるけど、お風呂の渦巻きなんかには関係ない
そうだよ」
というわけで、せっかくのひらめきも当たりませんでした。
ところが、しばらくしてこの工作をクラス全員で作ったんですね。
そこで、
「なぜか全部同じ方向に回るんだぞ~」
なんて自慢してたら
「先生、○○君の反対に回ってますよ!」
っていうんです。
「そんなばかな!」
と思って見てみると、確かに反対回りでした。
う~ん。何かが違う。何が違う。
と思っていたら、気付きました。
何だと思います?
(子ども「・・・」
あのね、ハサミが違ってた。
その子は左利きで、左利き用のハサミを使ってたんです。
後で、このことがちゃんと書いてある本を見つけたんですけど、
ハサミで切ると、見た目ではよく分からないけど、紙の断面が
斜めになるんだそうです。
それが、右利き用のハサミと左利き用のハサミで斜めの向きが
反対になるらしいです。
そのわずかの違いで回転の方向が変わるらしいです。
これね、ただの工作のお話です。
でもね、ただの工作の中にも、どうしてかな?っていう疑問が見つかる
ことがあるんだね。
そういう疑問をそのままにしないで追究してみると、おもしろいことが
分かるんですね。
世の中の発明や発見はこういうハテナから生まれることも多いのです。
「必要は発明の母」という言葉があります。必要感が発明につながると
いう意味ですね。同じように「ハテナは発見の母」とも言えます。理科
の勉強に限らず、これからの生活の中で「ちょっとしたハテナ」を見つ
けて追究してみるといいんじゃないでしょうか。
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