●苦しい時ほどきれいに見える(子どもに語るちょっといい話No081)
★運動会の表現の練習、学習発表回での発表の練習など、子ども達も先生も最初は気持ちが入っていて一生懸命にやっていますが、そのうちに中だるみとなることがあります。すると、ちょっと大変なところを手を抜いてしまいます。一度手を抜いてしまうと、それをもとに戻すのは意外に大変です。そんな時に、子どもたちも先生も心を入れ直すきっかけになる語り。
もう10年以上も前のことですが、先生たちの勉強会がありました。
勉強会の内容は、日本舞踊の先生のお話を聞くことでした。
日本舞踊というのは日本の踊りですね。
お話をしているの途中で姿勢や動きや目線の話になったとき、
先生が、
「皆さんも一緒にやってみましょう」
と言いました。
踊りの動きをちょっとやってみましょうということです。
どんな動きだったかというと、
手ぬぐいを広げて両手で捧げるように持ち、
ちょっと腰を落として、
両手を頭くらいの高さに掲げ、
掲げた手ぬぐいの下から覗くようにして、
視線を横にずらす
というものです。
時間にすると2秒くらいだったと思います。
ちょっとやって見せますね。
(動きを見せる)
先生の動きを見ていると、すばらしく滑らかで美しくて、
見ているだけですっとできそうな気がするんですね。
でも、自分でやってみるととてもぎこちない動きしかできないんです。
そのぎこちなさが自分でも分かるほどでした。
まるでロボットが動いているのかと思うほどです。
この動きを何度も繰り返しながら、途中で先生からの注意があったりして
少し時間がかかりました。
その間とにかく、中腰で腕を掲げている姿勢をしていますから、
腰と膝と腕が痛くなります。
そうなると、だんだんと膝が伸び、腰が伸び、腕が下がってくるんですね。
その時に、先生がおっしゃった言葉がとてもいい言葉でした。
「この姿勢をとっていると、膝や腰や腕がちょっとつらいですね。
でも、つらい姿勢、苦しい姿勢をしている時ほど
見ている方には美しく見えるんです」
そう言われて、先生と隣の人を見比べてみると、
確かに、楽をしようとして曲げるところを曲げない、伸ばすところを伸ばさないと、
全然美しく見えません。
それを腰を落として腕を上げ、膝を曲げて、
苦しい姿勢、つらい姿勢を頑張って保って動くと美しく見えます。
これっていろんな表現活動に言えることだなと、先生は思います。
運動会の練習でも、学習発表回の練習でも、最初は一生懸命にやっていても
だんだんと慣れてきたり疲れてきたりすると、大変なところ苦しいところでは
ちょっと手を抜きたくなるんですね。
そうすると、姿がよく見えなくなります。
始めたばかりの方が動きは下手なのに、
練習を重ねた時の方が、最初よりも何だかきれいに見えないな、なんて
思うことがあります。
下手だった最初の方がいい感じだったなって思うことがあります。
その理由はここにあるんじゃないでしょうか。
動きは覚えたので間違えないのですが、曲げるところあげるところ、声を出すところ
そういうところにちょっとした手抜き、気のゆるみが出てきてしまうのです。
最初の頃は動きは下手でも、曲げるところも声を出すところも頑張っています。
その差が現れるのではないかと思います。
練習をする時には、ここのところを意識して練習したいですね。
自分が表現していて、「つらい」「苦しい」「大変」と思っているところほど
見ている人からは「きれい」で「美し」く「素晴らし」く見えるということです。
せっかく表現するのですから、見ている人によい姿を見てもらいたいですね。
そう思って、練習に取り組んでみましょう。
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