海の命の授業 4時間目。
5時間で完了予定なので、スピードアップ。
●前回は「太一はすべてをさとった。」というところで、全てとはどういうことなのかを聞いたところで終わりました。太一はどんなことを悟ったのでしょうか、発表してください。
・与吉じいさが死んで海に帰ったこと。この海で自分も生きていけるということ。太一は村一番の漁師になったということ・・・・・。
○うん。そういうことを全部まとめて言うと何だろうね?
・与吉じいさは太一に釣りの仕方を全部教えた。
・太一は村で一番の漁師になった。
○う~ん、ちょっと難しいか。父がそうであったように、与吉じいさも海に帰っていったんだね。与吉じいさが死んで太一は悲しかったけれども、自然な気持ちでいられたわけだ。それは、「海と一体」(板書)だったからだね。父もじいさも死んでしまったけれどもそれは海に帰って行ったことで、この海でいつまでも生きているということでもある。海を介して父と与吉とつながっているということだね。
●「ある日、母はこんなふうに言うのだった。『おまえが~、わたしはおそろしくて夜もねむれないよ』」と書いてあるけど、母は何がおそろしいのだろう?
・太一が父親と同じようにクエと闘って死んでしまうこと。
○うん。父親が死に、同じようにまた息子が死ぬかもしれないということ。つまり、肉親の死、愛する者の死がおそろしいということだね。
●しかし太一は「母の悲しみさえも背負おうとしていた」 これはどういうことを言っているんだろうね。ノートに書いてみよう。
○背負うという言葉にはどんな意味があるかな?
・責任を引き受ける。
○ということは、母の悲しみさえも引き受けるということだね。「さえ」という意味は?
・そこまでも
○そこまでいく途中はもちろんのこと、そんなところまでもということだね。だから、悲しみ以外のこともそうだし悲しみまでも引き受けようとしているということになるけど、それってどういうことだろうね。
・母親の悲しみをなくそうとしているということ。
○うん。今の意見についてなるほどそうだなと思う人は「○」、いや違うんじゃないかなと思う人は「×」を書いてみよう。
○ 多数
× 2名
○バツのひとで理由が言えますか?
・太一のお父さんがなくなてしまった悲しみは、何をしても消すことはできないと思うから」
○なるほど、そう考えたか。あのね、これって「背負う」ということだろうかね? 背負うっていうのは引き受けるっていうことだよね。悲しみを引き受ける。悲しみを引き受けるっていうのは、悲しみを消しちゃうことなのかな? これはそうではなくて悲しみを悲しみのまま引き受けるっていうことだね。だから悲しみを消してしまうことではなく、また母親を励まして元気にすることでもないです。母親が悲しんでいるその悲しさごと太一は受け止めるという、悲壮な覚悟だね。
○その母親の心配した通り、太一はついに父親と同じもぐり漁師になってしまいます。「いかりを下ろし、海に飛び込んだ」って書いてある。この瞬間に太一は父と同じもぐり漁師になった。
(この部分の表現は読み味わうとおもしろいのだが、飛ばして先に進むことにする)
○「太一は興味をもてなかった」とあるけど、どうして興味をもてないの?
・太一は父を倒したクエをさがしているから。
●「追い求めていううちに、不意に夢は実現するものだ」 「不意に」ってどういう意味?
・突然
○突然、夢は実現するものだ。この「夢」はどんな夢だろう。ノートに書いてみよう。
○瀬の主に(出会う 倒す)、どっちだろうね。
・ああそうか。夢は実現するものだということは、ここで実現している夢だから、出会うということだ。
○そうだね。まだ倒してはいなから、ここは出会うというのが「夢」だね。
○「太一は海草のゆれる穴のおくに、青い宝石の目を見た。~百五十キロはゆうにこえているだろう。
○しんじゅって書ける?
○えらっていう字はこういう字です。
●この部分を読んで、今、太一が出会っているこのクエと、父が闘ったクエとは同じクエだろうか、それとも違うクエだろうか、同じだと思う人は「同じ」、違うと思う人は「違う」とノートに書いてみよう。
「同じ」 6人
「違う」 多数
○違うと考えた人で、理由が言えるひとがいますか。
・父が闘ったクエの目は「緑色」だったけど、このクエは「青い」から違うクエ。
○「同じ」と考えた人で反対意見のある人?
・太一は父親が闘ったクエを海の上から見ているから、少し違う色に見えた。
○太一は父が闘ったクエを見たのかな?
・見ていない。
・私は「違う」と思っていたんですけど、今の意見を聞いて「同じ」だと思うようになりました。緑色と青色だけど、岩陰の暗いところにいる時と、光が差している所にいる時とでは、同じ目でも別の色に見えると思うからです。
○うん。青と緑は、同じ色です。
・え~!
・そうか、青信号は緑だし。
○光線の具合とかその時の状況によって、見え方は少し違うでしょうね。緑色をした目が青く見えることもあるのでしょう。似た色ですからね。
○物語を読むときにひとつ大切なことを教えます。このクエのように、読んでもはっきりと分からないことがあります。太一は実際には父が闘ったクエを見ていませんから、太一の視点で描かれている限り、同じかどうかは分かりませんね。でも、目の色は似ているし、父の闘ったクエも何人がかりで引っ張ってもびくともしない巨大なクエだったということで、同じクエだと考えるのが自然ですね。読んでもはっきりと分からない場合は、一番自然なように読み取るのがいいのです。
○こうして、太一は父が出会ったクエと対するわけですね。いよいよ次の時間はその場面を読みましょう。それでこの海の命の勉強も最後です。楽しみにしていてください。
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