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小辻節三 6

根井三郎の計らいでウラジオストックから敦賀に向かう船に乗れた
ユダヤ人たちは、ついに日本に入国することになりました。

と、言いたいところですが、実はこれも簡単なことではありません
でした。敦賀についたユダヤ人達は、福井県警によってパスポート
を調べられ、所持金不足、目的地のビザのない者は上陸を許されな
かったのです。

上陸を許されなかった人達は、上陸後に目的地のビザを取得する、
などと必死に交渉しましたが許されず、そのまま船は3日後に再び
ウラジオストックに向かいました。

しかし、ウラジオストックでもソ連の秘密警察に日本のスパイと疑
われたりして上陸を許可されず、船から一歩も出ないように言われ
たようです。

最終的には神戸のユダヤ人協会の人達が奔走し、駐日オランダ大使館
とかけあって、キュラソービザを発行してもらい、入国が拒否され
ていたユダヤ人達を救いました。

敦賀の人達はこのユダヤ人達をあたたかく迎え入れたそうです。食
べ物や飲み物を提供し、銭湯の中には1日営業を休んで、ユダヤ人達
のためにお風呂を提供した人もいたそうです。
エルトゥールル号遭難事件の際の日本人の義勇心は脈々と生きてい
ると言えます。


こうしてユダヤ人達は敦賀に上陸し、その後神戸に向かいます。な
ぜなら、当時神戸にはユダヤ人数十人が暮らしており、ユダヤ人協会
があったからです。

しかし、そこに数千人のユダヤ人が続々と来るのですから、受け入れ
は大変なことだったようです。ここでも、神戸の市民が温かく迎え
入れ、何とか受け入れることができたようです。


ところで、入国しても通過ビザの滞在期間はおよそ10日間しかあり
ません。滞在期間が過ぎれば、本国に強制送還されてしまいます。
そうなれば、また迫害に合い、最悪の場合は死がまっています。

page013.jpg

そんな中、ユダヤ人協会の人が、あの満州での「極東ユダヤ人大会」
で見事なヘブライ語で演説をした小辻節三を思い出します。

こうして難民の代表者が小辻節三に合い、助力をお願いすることに
なりました。

page014.jpg


小辻はこの申し出を快く引き受けます。

そして、ユダヤ人難民のために神戸へ通い、数々の日常生活のサポート
をすることになります。

通訳はもちろんのこと、文化の違いから生じるトラブルなども解決した
そうです。

たとえば、ユダヤ人にとっては帽子をかぶるのが正装で、室内でも帽子
をとらないことがあります。日本人はこれを失礼なことと思って、喧嘩
になるのです。そういうことの仲裁も行っていたそうです。


しかし、何と言っても小辻のした最大の貢献のひとつは、ユダヤ人難民
のビザを延長させたということです。
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栃木県で小学校教員をしています。
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