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|「三上の読書~いつ読む?」 (第11章「読書」 第1講)
|~できる教師になるための12章~
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「今日から新しい章に入ります」
「よろしくお願いします」
「教師の生活には切っても切れない読書についてです。この前少し読書について話しました」
「読書には2つの困難さがあるということですね」
「そうです。今日は、読書をするのがどうして難しいかではなく、読書をするという前提に立って読書について考えていきます」
「お願いします」
「まず、いつどこで読むのかということです。君はいつどこで読書をすることが多いですか?」
「いつどこでですか? そうですね~、夕食後に自分の机で読むことが多いですね。多いというか、多くはないですけど、読むとしたらそれが多いと思います」
「改まって本を読むとすればそういうことになるでしょうね。君は『三上』という言葉を聞いたことがありますか?」
「サンジョウですか? 聞いたことがないです」
「古来より文章を練るのに最もよく考えがまとまるといわれている三つの場所のことです。ひとつは馬上(ばじょう)、もうひとつは枕上(ちんじょう)、もうひとつは厠上(しじょう)です。馬上は馬の上ですから、馬に乗っている時ですね。現代で言うならば乗り物に乗って移動している時ということになります。バスとか電車とか」
「なるほど。では枕上というのは寝る時ということですか?」
「その通りです。枕上と言っても枕の上に乗るということではありません。眠る前ということです」
「もうひとつの厠上というのは何でしょうか?」
「厠はトイレのことです。厠上と言ってももちろんトイレの上に乗るという意味ではありません。トイレに入っている時という意味ですね」
「文章を練るのによく考えがまとまるというその三上と読書とどういう関係があるのですか?」
「うむ。この三上は読書についても言えるので、『三上の読書』と言うこともあるのです。つまり、この三上は読書についても適しているということです」
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|三上の読書
| 馬上…乗り物に乗って移動している時
| 枕上…床に入って眠るまで
| 厠上…トイレに入っている時
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「それぞれの場所、時が読書にとって最良かと言えば必ずしもそうではありませんが、この三上の読書から学ぶことが別にあります」
「何でしょうか?」
「読書というのはいつでもどこでもする気になればできるものだということです。よく、本を読む暇がないという人がいます。それは本を読む暇がないのではありません。本を読む気がないのです」
「でも、皆さんいつも忙しくて読む暇がないと言ってますが」
「三上の読書をすれば、1日15分程度は読めるでしょう」
「そうですね。通勤で5分、寝る前に5分、トイレで5分読めば15分ですからね。でも、院長、自家用車で通勤している人は読めませんよね」
「もちろん、運転中に読んではいけません。しかし、長い信号待ちの時ならば読めます」
「ホントですか? それ危なくないですか?」
「まあ、危ないですね。なので、やらない方がいいです」
「冗談ですか?」
「冗談のようなそうでないような。しかし、自家用車で通勤している人でもよい方法があるのです」
「へ~、何ですか? 朗読CDを聞くとか?」
「それもいいですがそれは読書ではありません。よい方法というのは、勤務先の駐車場についたら、車を降りる前に5分間の読書をすることです」
「でも、朝の5分は貴重ですから、難しくないですか?」
「本当にぎりぎりに到着する人には無理ですね。でも、そういう人は生活サイクルそのものを変えた方がいいでしょう。朝、5分間のゆとりもないのではその方が危険です」
「確かにそうですね」
「車の中で読むことがどうしても心配な人は、職員室に行ってからとか教室に行ってから5分間の読書をすることも考えられますが、そうなると意外にできないものです。車の中というのは個室状態になっていますので、読書に適しているのです」
「分かります。結構読みやすいですよね、車の中は」
「そうです。こうして1日15分の読書をしたとします。すると、1か月で450分になります。7時間30分ですね。これだけの時間があれば2冊程度は読めるのではないでしょうか。1年間続ければ24冊です。かなり読めることになります」
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|車上5分 寝る前5分 トイレ5分 → 1年で5475分=91時間15分
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「塵も積もれば山となる、ということですね。そう言われると、本は読む時間がないのではなく、読み方が悪いということになりますね」
「そうですね。こう考えれば、読書は三上に限らずいつでもどこでもできるということです。ですから本は常に読める状態にしておくことが大事です。車に乗せておく、枕元に置いておく、トイレに置いておく、机に置いておく、バッグに入れておくなど、本をすぐに読める状態にしておくということが、読書の時間を作ることにつながります」
「分かりました。私もバッグには本を入れておきますが、これからはあちこちに本を置いておくことにします」
「それからもうひとつできたら心掛けた方がいいことがあります」
「何でしょうか」
「この三上の読書は、もともといつでもどこでも読めるということの代表的な例として上げられているのではありません。文章を練るのに適した場所ということですから、考えをまとめやすい、よい考えが思いつきやすい場所でもあるということです。つまり、読書をしながら霊感が湧くことが多いということです。それをメモするということです」
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|三上ではメモの準備
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「メモの準備をしておくということですね」
「できれば、ということです。霊感は去るのもまた速いものです。湧いた瞬間に書き留めておくことが、霊感を逃さない最善の方法です」
「分かりました。頑張ってみます」
「今日の講義はこれで終わりです」
「ありがとうございました」
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