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語り続けることが教師の使命

「過去が咲いている今、未来のつぼみでいっぱいの今」
 河井寛次郎(陶芸家)

今、ここにいる自分というものは、生まれた時の自分とは姿形も違うし中味
も違います。しかし、生まれた時の自分と今の自分とが断絶していた瞬間が
あるかというとそれは1秒たりともありません。ずっとつながっていました。

それはあたかも、蕾と花は別物だけれども、蕾がやがて花になっていくとい
うことと同じと考えることができます。

今の自分を花だと考えれば、その蕾は生まれた時の自分の中にすでにあった
のかもしれませんし、もう少し成長してからの自分の中に生まれてきたもの
であったかもしれません。

いずれにしても、今の自分は過去の自分によって出来上がっているというこ
とを、この言葉は伝えているように思います。

もし、今の自分が素晴らしい花であれば、そのすばらしい花の元となった蕾
は過去の自分の中にあったのです。仮に、今の自分が打ちひしがれたような
花であれば、あるいは花の一つも咲かない身であれば、その元となった蕾や
蕾さえない自身というものは、やはり過去の自分の中にあったのです。

今があるのは過去の自分があるからです。5年後、10年後に、素晴らしい
花をつけている自分でいられるかどうかは、今の自分が素晴らしい蕾を持っ
ているか育てているかということと大きく関係しています。

常にその気持ちをもって、今このときを大切にしなければなりません。

磨き伸ばせばよい蕾ができ、怠け易きに流れれば粗悪な蕾となるでしょう。
未来の花のために今日を努めることが大事です。


さて、このような話を子供にしたとします。
6年生くらいになると、話の内容は理解し、感想を書かせれば「自分も将来
のために、今を頑張ろう」という内容の感想を書く子は少なくないでしょう。

しかし、そこで終わる子がほとんどです。
つまり表層的な理解で終わってしまうのです。
とても、「人間性を磨く」というところまでは行きません。

「人間性を磨く」という段階にまで到達するにはどうするか。
そのためには、経験が必要です。

子供にも、昨日宿題を怠けたから今日叱られている自分がいる、という程度
の経験はあります。しかし、この言葉の真理に迫るような大きく深い経験、
または小さな経験の大きな積み重ねはありません。

ですから、言葉が子供の人間性を磨くということは、現実にはあまりないと
思います。全くないことはないと思いますが。

では、このようなことを語るのは無駄かというと、そうではありません。

こういう言葉は、子供の中に入ると一旦休眠します。
そして、その後の人生でたくさんの経験をしていくことで、ある日、目覚め
るのです。目覚めた時点で子供の人間性に何らかの影響を与えるでしょう。

芽の出ない言葉もたくさんあるでしょうが、芽を出して成長し大きな花をつ
ける言葉もあるはずです。

それを信じて語り続けることも教師の使命の一つです。
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栃木県で小学校教員をしています。
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