松井がヤンキースに入った当初、打てない時期があり、各紙で叩かれた時が
ありました。その時に、トーリ監督が松井を呼んでこう言ったそうです。
「いいんだ。打てなくても気にするな。お前の素晴らしい守備で、うちはい
つも助けられているじゃないか。(進塁打など)チーム打撃でも立派に貢
献しているよ」
そして、一言アドバイス
「打席で半歩ベース寄りに立ってみることだ。きっといい結果が出るぞ」
この監督の言葉に松井は勇気づけられ、そのアドバイスは功を奏し、松井は
翌日の試合から打ちまくりました。
松井は後日、この言葉を「魔法のような言葉だった。」と言ったそうです。
そして「トーリ監督でよかった」と。
この監督の言葉掛けがすばらしいということで、
○相手を認めること
○失敗を指摘しないこと
が、失敗をした子への言葉掛けとして大事だと考えられ、子供への言葉掛け
のよい例として挙げられることは十分に考えられます。
しかし、果たしてこのトーリ監督の言葉掛けは小学生に通用するのでしょう
か。
通用しないことはないでしょう。
つまり、失敗だということはないでしょう。
毎日忘れ物をしてくる子に
「いいんだ。忘れ物をしても気にするな。お前の大きな号令の声で、学級は
いつも元気になっているじゃないか。それでも、立派に貢献しているよ。
連絡帳を必ず見ることだ。きっといい結果が出るぞ」
と言ってみましょう。
どうです?
いい感じですね。
だから、通用しないことはないのです。
でも、この言葉掛けで肝腎の「忘れ物が少なくなる」ということについて、
効果があると思いますか。
おそらく、あっても数日。その後、もとにもどるか、最初から忘れ物は少な
くならないがどちらかでしょう。
どうしてでしょうか。
忘れ物をする子供と松井選手との間には違いがあるからです。
その違いは、本人の意識の違いです。具体的には、
○本人が困り感をはっきりと感じている
○本人にそれを乗り越える力が備わっている
ということです。
松井選手は打てずに大いに悩み困っていました。だから、トーリ監督の「失
敗を責めない」「相手を認める」言葉が心に大いに響いたのです。
さらに、松井選手にはスランプを乗り越える力がそもそも備わっていました。
だから「半歩ベース寄りに立て」というアドバイスが「きっかけ」となって
スランプから脱出できたのです。
これに対して忘れ物常習の子には
○困り感があまりありません。
○それを乗り越える力が本人にあまりありません。
なので、この言葉掛けが功を奏しないのです。
では、どうすればよいでしょうか。
一つの方法は、この言葉掛けは
○困り感を持っている子
○乗り越える力が本来備わっている子
に使うということです。
つまり、人を見て法を説くのです。
もう一つの方法は、
○子供に困り感を実感させる
ということです。
まず、子供に困ってもらうというのも指導の一つです。
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