今は学級担任をしていませんが、担任をしているときにはこんな話もしたこ
とがありました。
皆さんは「人間イス」というのを知っていますか。
何人かで並んで、全員がイスに座るようなかっこうをします。そのまま、後
ろの人のひざの上に座っていきます。自分の前の人が自分のひざに座ること
になります。
こうすると、全員が一列になって座ることができます。ただし、一番後ろの
人は座れません。なので、列をぐるっと輪にして、一番後ろの人が一番前の
人のひざに座るようにすると、全員が座れます。
一度に何人の人が人間イスを作ったか、ギネスブックに記録が載っているそ
うです。
このギネス記録に挑戦した高校生達がいました。
ある高校の学校祭で世界記録を作ろうと、実行委員会ができ、その生徒たち
が中心になって取り組んだのです。
学校祭の当日、校庭の朝礼台の上に乗って、実行委員がマイクで生徒や参観
者に呼び掛けました。全部の生徒が参加したとしても世界記録にはぜんぜん
足りませんので、この日学校祭を見に来た人たちにも参加をしてもらわなけ
ればなりません。
一般の人たちもどんどん加わって人間イスが出来上がっていきました。実行
委員長はイスが出来上がっていくのを見ながら、何度も何度もマイクで参加
を呼び掛けていました。最後は必死に叫ぶように参加を呼び掛けていました。
そしてついに長い長い人間イスが校庭に完成し、実行委員が手分けしてイス
の数を数え始めました。
その数は次々と報告され集計されていきました。
そしてついに合計の数が出ました。
どうだったでしょうか。
残念なことに、世界記録には足りなかったのです。
その瞬間、実行委員長は朝礼台の上で泣き崩れてしまいました。くやしかっ
たのだと思います。
なぜなら、その学校の校庭をぐるっと取り囲むように土手のようなものがあ
り、その土手の上に、実行委員長の必死の呼び掛けを聞いても、ただ見てい
るだけで校庭に下りようとしない人が、記録に足りなかった人数の何十倍も
いたからです。
いくら必死に呼び掛けても行動を起こさないたくさんの人を見て、実行委員
長は自分の無力さを感じたのでしょう。
それでも、少したって立ち上がると、彼はマイクを通して
「ありがとうございました」
と言い、深々とお辞儀をしました。
回りで見ているだけの人のことを「傍観者」と言います。
「傍観者」にはなりたくないですね。人間イスを作る場にいたなら、見てい
るだけではなく参加する人になりたいと思います。
皆さんにもそうあってほしいと思います。
道徳の授業でも、考えるべきときには考え、意見を述べるべきときには意見
を述べ、実際の場でできることがあるときには実行する、そんな人になって
ほしいと思います。
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